ローラチェーンの切り方・つなぎ方

ローラチェーンの切り方

ローラチェーンを切る場合には、チェーンバイスを使用する場合とチェーンカッターを使用する場合があります。

チェーンバイスを使用する場合

①リベット形ローラチェーンでは、外リンクの上に飛び出た2本のピンの頭をプレートと同じ面になるまでグラインダーで削り落とします(写真1)。 割りピン形ローラチェーンでは、割りピンを抜きます。

②チェーンをチェーンバイスやアンビル(写真2)に挿入して、ピンの上にポンチをあててピンを抜きます。このとき、一対になっているピン(1枚の外プレートに圧入されている2本のピン)は、平行に抜けるように注意しながら作業してください。

③現在使用している伝動部のチェーンの交換やチェーン長さの調整のためにチェーンを切る場合には、写真3のようにスプロケットの歯部を利用すると作業が容易になります。 ただし、鋳物製のスプロケットでは、歯の折損、小番手のチェーンのスプロケットでは歯の曲りが発生しますのでご注意ください。

④この作業の中でチェーンが切れたときにチェーンが跳ね返ったり、チェーンの落下で作業者がけがをする危険がありますので、テンションを緩めてチェーンの負荷を取り除くことと、チェーン自体の質量を支える対策をしてください。

チェーンカッターを使用する場合

①リベットピンではピンをサンダーで削り落とし、割りピン形チェーンでは割りピンを抜きます。

②チェーンカッターでチェーンピンを抜きます。チェーンカッターは、現在使用している伝動部のチェーンに取り付けてピンを抜くことができるので便利です。 このときは、チェーンの負荷を取り除き、チェーン自体の質量を支える対策をしてから作業をしてください。

ローラチェーンのつなぎ方

チェーンをエンドレスにする場合は、プーラーを使用する方法とスプロケットの歯を利用する方法があります。 チェーンを継ぐ場合の手順は、次のとおりです。

①ローラチェーンをスプロケットに巻き付けて、プーラーを使用してチェーンの両端を引き寄せ継手リンクを挿入します。

②写真4のようにチェーンの両端をスプロケットに巻き付けて、ローラチェーンの両端がスプロケットの歯に掛かるようにして継手リンクを挿入する方法は取扱いが容易です。 継手リンクを挿入するときは、ピンがブシュに平均して入ってゆくように注意してください。

③継手リンクのかぶせ側の外プレートをピンに入れたとき、クリップを挿入する溝や割りピンの入る穴がプレートから出ていることを確認してください。 タイフィット(しまりばめ)継手リンクのプレートを圧入するときは、パイプなどを使って2本のピンが平均して入るようにハンマーで叩いてください。 (写真5) スプロケットの歯を利用するときは、歯の損傷がないように注意してください。

④クリップや割りピンをセットします(写真6)。クリップや割りピンを取り付ける方法は、次項に従って行ってください。

クリップ・割りピンの取り付け方法

クリップ・割りピン等は、次の指示に従い、正しく取り付けてください。 取り付けが不完全な場合は、運転中に手リンクが分解して切断事故が発生する危険があります。

クリップ

クリップは、HKK25-60の短いピッチのローラチェーンの継手リンクで使用しています。クリップのセットでは、クリップが継手リンクの溝に確実に入ったことを確認のあと、プライヤーなどで静かに挿入してくだい。クリップの脚を拡げすぎたり曲げすぎたりすると、継手リンクが分解して思わぬ事故になりますので十分注意してください。

割りピン・Tピン・Sピン

割りピン・Tピン・Sピンは、HKK80以上のローラチェーンや強力タイプのチェーンで使用しています。 各々のチェーンでの形式は各寸法表に明記してあります。

取り付けのとき、割りピンは右図のように60°程度開脚してください。Tピン・Sピンでは、30度曲げてください。角度が不足しますと、チェーンから脱落して、思わぬ事故につながりますので注意してください。

なお、一度使用した割りピン・Tピン・Sピンの再利用や市販のものの使用はやめてください。

チェーンを切るときに使用する工具

チェーンカット工具①

形式 チェーン使用範囲
No. 25-S HKK 25-1
No. 35~40-S HKK 35-1・40-1
No. 50-S HKK 50-1
No. 60-S HKK 60-1
No. 80-S HKK 80-1
No. 100-S HKK 100-1

チェーンカット工具②

形式 チェーン使用範囲
No. 35~40W HKK 35-1・35-2
HKK 40-1・40-2
No. 50W HKK 50-1・50-2
No. 60W HKK 60-1・60-2