スプロケットとは

スプロケットは、チェーンのリンクと回転して噛み合うように設計された機械式歯車です。スプロケットは、自転車、自動車、オートバイ、工具、その他の機械など、さまざまな用途に使用されます。

スプロケットには、あらゆる伝動部に使用できるように設計された「標準スプロケット」と、特定の条件での使用に対応させるために標準スプロケットに追加加工を施した「特殊スプロケット」の2種類が存在します。

標準スプロケットの種類

標準スプロケットは、あらゆる伝動部に適応できるようバラエティに富んだ形式・品種があります。​

A形・焼入A形 aA形 hardened-a焼入A形
スチールプレートの外周を歯切りしたスプロケットです。 A形(SS400)と焼入A形(S35C ・歯先部高周 波焼入れ)があります。
B形・新B形 bB形・新B形 2-b2列B形・新B形
片側にボスが付く削り出し仕様で、ボス寸法が異なる2タイプがあります。材質はS35CまたはS45C(歯先部高周波焼入れ)です。
BW形 新BW形 片側にボスが付く溶接構造のスプロケットです。 ボス寸法の異なる2タイプがあります。 材質はいずれのタイプもSS400です。
C形・CW形 両側にボスが付くスプロケットです。 削り出し仕様のC形(S35C 歯先部高周波焼入れ)と溶接構造のCW形(SS400)があります。
ステンレス新B形・新BW形 stainless-bステンレス新B形
片側にボスが付くSUS304製のスプロケットです。 削り出し仕様の新B形と溶接構造の新BW形があります。
変則2列形 変則2列形スプロケット
ボスの両側にスプロケットが付き、単列のチェーンが噛み合う構造です。 材質は、S35CまたはS45C(歯先部高周波焼入れ)です。

加工スプロケットの種類

加工スプロケットは、標準スプロケットでは対応することができない条件での使用を想定し製作するスプロケットです。

軸穴加工付きスプロケット


標準スプロケット新B形(歯先部高 周波焼入れ)に、汎用性のある軸穴・キー溝・ タップ加工を施したスプロケットです。

製作スプロケット

ボス寸法や軸穴寸法などが特殊なオーダメイドスプロケットです。

スプロケットの特注加工を承っています!

詳細はこちら

スプロケットの基本寸法

dimension

項目 備考
ピッチ径 Dp = P/sin180°/N
外径 Do = Dp+0.7R R.Fローラ形チェーン
Do = Dp+R Sローラ形チェーン、B形・ブシュ形チェーン
基円径 D = R+3 R ≦ 50の場合
D = R+4 50 < R ≦ 100の場合
D = R+5 R > 100の場合
歯幅 T = 0.9W-3 R、Sローラ形チェーンの場合
T = 触軌幅-(3~6) Fローラ形チェーンの場合

歯幅Tの寸法は基準値です。 内リンクの内幅により歯幅寸法Tの寸法許容値が変化します。

P チェーンピッチ
R チェーンのローラ径、 B形チェーンはブシュ径
W チェーンの内リンク内幅
N スプロケットの歯数

スプロケットの形式と構造

スプロケットの形式は次のA形、B形、C形に大別されます。

A形 歯部だけのフラットの板状のスプロケットです。
ボルトなどでボスやハブをセットします。
B形 A形スプロケットの片側にボスの付いた形式のスプロケットです。
C形 A形スプロケットの両側にボスの付いた形式のスプロケットです。

B形、C形スプロケットでボスを付ける方法には、ボスを歯部に貫通させ溶接する方法とA形スプロケットにボスを溶接する方法があります。

style-and-structure

スプロケットの材質

スプロケットは、ローラとの噛み合いの際に発生する衝撃や曲げ応力に耐え、耐摩耗性を持つことが大切です。

現在一般に多く使用されているのは、機械構造用鋼です。機械構造用鋼は、材質的に安定し、強度・耐摩耗性に優れ、 加工面では溶断・溶接が容易にできます。しかも、少ロットでも対応ができます。

材質 説明
機械構造用鋼 強靱で耐摩耗性に富むスプロケットで炭素鋼を使用した場合は、歯部に高周波焼き入れを施し耐摩耗性を向上させます。 歯部の製作では、精密熔断や機械加工などの方法がとられ正確な歯面が得られます。 SS400、S35C、S45C
ステンレス鋼 耐蝕性、耐熱性に富み、錆に強く美しい状態を維持する鋼です。  SUS304